ホーム > 「講座で楽しく本質力をトレーニングするための教え」第1回

運動科学者高岡英夫×アルペンスキーヤー星瑞枝選手の「本質力」師弟対談

高岡英夫(たかおか ひでお)
運動科学総合研究所所長、NPO法人日本ゆる協会理事長・推進委員。東京大学、同大学院教育学研究科卒。東大大学院時代に西洋科学と東洋哲学を統合した「運動科学」を創始し、人間の高度能力と身体意識の研究にたずさわる。オリンピック選手、芸術家などを指導しながら、年齢・性別を問わず幅広い人々の身体・脳機能を高める「ゆる体操」を開発。日本ゆる協会理事長として東日本大震災復興支援ゆる体操プロジェクトを指揮、自らも被災地でのゆる体操手ぬぐい配布活動、ゆる体操講習活動に取り組む。
星瑞枝(ほし みずえ)
アルペンスキー選手。2006年トリノ冬季オリンピック日本代表。アルペンスキー選手だった父親の影響で、4才の時からスキーを始める。中学3年生で全日本選手権スーパー大回転で優勝(当時最年少記録)。高校2年生でインターハイスラローム優勝。アルペンスキー世界ジュニア選手権は4年連続で日本代表。トリノオリンピック代表として出場したスラロームでは日本人選手中最高の27位を飾る。現在、運動科学総合研究所支援選手として高岡英夫の指導を受けながら、2014年ソチオリンピック出場を目指す。

「講座で楽しく本質力をトレーニングするための教え」第1回 (2012.11.09 掲載)


 高岡英夫に本質力の指導を受けながら、2014年ソチオリンピックの出場を目指すアルペンスキーヤーの星瑞枝選手。その彼女が、2012年9月22日(土)、23日(日)に東京で開催された秋期集中講座に参加しました。その数日後に行われた“師弟対談”を一部編集してお届けします。

舞台上の圧倒的な存在感に目を奪われた

高岡 秋期集中講座では、どの講座を受講したんだっけ?

星 「寝臥位センター錬成法I」と「2012年版Newトップ・センター初級」、「下軸の王者“内転筋”を鍛える」の3講座です。

高岡 そうか。秋期集中の4講座目の「2012年版Newダイナミック・センター」は、君にとって欠くことのできない大事な講座のはずだけど、たしか菊之助君の舞台『春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)』を観に行ったので、参加できなかったんだよね。菊之助君の鏡獅子を観て勉強になったかい。

星 はい、多くの点で勉強になりました。

高岡 どの辺りが勉強になったの。

星 やっぱり菊之助さんが舞台に出てこられた時の圧倒的な存在感ですね。あの存在感は普通の役者さんでは持っていないものだと思うんですけど、普通の言い方で言えば、凄まじいオーラといったようなところでしょうか。
 もう少し適切に表現してみると、日々のトレーニングを積み重ねることで築き上げられた菊之助さんの素晴らしさというものが、舞台全体にドーンとあふれ出ているという感じですかね。菊之助さんが舞台に出てこられた瞬間から、ウワーッとなって全身が鳥肌でゾクゾクしてきました。
  私は同じゆる体操とゆるトレーニングを実践しているからかもしれませんが、菊之助さんが舞台で舞っていらっしゃるときは、もちろん踊り全体も目を引くんですけど、踊り全体というよりもむしろ体の動きを中心に見てしまいます。
 それまでの演目は席に寄りかかって座って観ていたのに、菊之助さんが出てきた瞬間に「やっぱりとんでもない動きだ!」と、その圧倒的なパフォーマンスにジーッと見とれてしまいました。

楽してセンター形成を促す方法「寝臥位センター練成法」

高岡 なるほどね。センター系の上昇下降力である「センター四力」や「センター系三層軸」である大径軸・中径軸・細径軸、また中丹田とリバースの運用などが利いて、君が感動するほどの存在感につながっていったんだね。

センター系四力
センター系四力の構造図
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センター系三層軸図
センター系三層軸図
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中丹田・リバース図
中丹田・リバース図
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高岡 ところで「寝臥位センター錬成法I」は、今回初めて受講したんだよね。

星 はい、そうです。

高岡 どうだった?

星 最初は何をやっているのかが分かりませんでした。寝ているから周りは見えないし。チラッ、チラッと周りを見ながら、こういうふうにやるのかと思いながら、なんとなくセンターのイメージを作っていました。
 でも、最初のセンターを天地に切るメソッドは、とても分かりやすかったです。やった効果が一番感じられたのは、メソッドを実際にやっている最中よりも、立った直後だったということに驚きました。

高岡 オーッてなるでしょ。
 あれやってるときは、最初は正直言って「あれ?何やらされてるんだろう」という感じだよね。でも立ってみたら。

星 そうなんです。
 立ってみたら、全然違ったんですよ。講座の最初では、一緒のグループの人たちが指摘してくださったんですけれども、立ち姿も、歩いている姿も私はちょっと外寄りに乗っている感じだったんです。
 それがいくつかメソッドをやっていくと、どんどんセンターが通ってきて、真ん中寄りに立てるようになって、顔までもがスーッとしてきました。その後は、センターを伸ばすメソッドで自分の中でセンターを感じながら、背骨を丁寧に伸ばしていくように取り組みました。立ってみると、ちょっと身長が高くなったかも、という感じでしたね。

高岡 なるほど。
 寝ながらセンターのトレーニングができるというのは、どう?

星 すごくいいですね。
 でも、このトレーニングって、寝る前とかにベッドの上に寝ながらやっていて、そのまま寝てしまってもいいんでしょうか?

高岡 もちろん寝ていいんだよ。
 そのまま、良い気持ちになって寝ちゃうとさらにいいんだ。赤ちゃんはそのまま良い気持ちで寝ているんだからね。赤ちゃんは立たないでしょう。

星 そうですね(笑)。

人間には赤ちゃん状態になれば、センターが形成されるメカニズムがある

高岡 赤ちゃんは、寝臥位センター錬成法を10ヶ月以上繰り返す間にセンターが身についてくるんだ。色濃く、立ち上がってくるわけ。
 そして、いよいよ12ヶ月くらい経ったところで、センターがあまりに強くなってくるので、もうどうしても立ちたくなってくるんだ。この方法は、そういう赤ん坊の研究から生まれてきた方法なんだよ。赤ちゃんって、ハッキリとした動きは出来ないでしょう。赤ちゃんがピッタリ手を合わせるところなんか、見たことないもんね。

星 はい、見たことないですね(笑)。

高岡 ふにゃふにゃ動いているだけ。
 だから非常に適当な動きでいいし、むしろあの寝臥位センター錬成法の本当のやり方から言うと、本当にざっくりとしたおおまかな動きでやったほうが効果が高いんだよ。
 それでもって面白がりながら、ゆるんでやるのが一番いいんだ。でも、なぜか放っておいても、手を動かしたりだとか、伸び縮みしたりするときに、自然に本当にゆるんで面白がってやれる状態になると、センターが感じられてくる。
 なぜかというと、じつは人間の中に最初からそういう装置があるからなんだ。つまり、そのような機能が、初めからDNAの中に組み込まれているんだよ。その機能が大人の感覚になると、働きづらくなってくる。
 逆に赤ちゃん状態だと、まさにそれがスイッチ全開で開いてくる。だから、要するに赤ちゃん状態になればいいんだ。
 赤ちゃんはどうしてる? 赤ちゃんは何だか面白がって、「アババ、バァーッ」(笑)って、大人から見るとだらけ切っているだけでしょう。赤ちゃんって、ああいう状態なの。つまり、赤ちゃんは一人でご機嫌で楽しんでいる。

星 仰向けになってバタバタやったりしていますもんね。

高岡 ニコニコしてやってるでしょ。あんな感じの時にスイッチが入ってるんだ。だからスゴく楽でいいでしょう。

星 寝る前も気持ちいいんですけど、朝起きた時にやるのも気持ちいいんです。やっぱり寝てる時って、動かないから固まるじゃないですか。
 だから、朝一番にまずモゾモゾしながら起き上がるんですけど、寝臥位センター錬成法をやると、背骨が一個一個伸びてくるからすごく気持ちいいんです。

高岡 それはいいね。
 普段、寝ゆるの「ひざコゾコゾ体操」とか、「腰モゾモゾ体操」をやるでしょう。そのトレーニングの一環にあれをさり気なく入れると、楽しながらセンタートレーニングができるんだ。
 しかもその方法は、人間にとって最も根幹的な方法だよ。何しろ赤ちゃんの時代に立ち上がる前までに実際にやっていた方法だからね。赤ちゃんは、それをやっていたから立てたんだし、やらなかったら立てないんだよ。

星 そうなんですね。

高岡 簡単に言うと楽じゃないと上手くいかないんだ。楽というのは簡単、気楽で一生懸命にならなくてもいいという意味があると同時に、楽しいという意味もあるよね。
 (1)少しも難しいところがない、(2)気楽にやれる、それから(3)楽しい面白いという3拍子が揃っているんだね。
 それでセンタートレーニングが上手くできるんだから、やれば必ず武器になるはずだよね。


第2回へ続く>>

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