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東京都知事選候補者4人

【参考図書】

東京都知事選候補者4人を斬る(1999年掲載記事)

総選挙直前特別企画—10年前の東京都知事選候補者4名(石原慎太郎、明石康、鳩山邦夫、舛添要一)のDSを徹底検証した記事を特別掲載

人民の長たるDSの理想を追究する

人間の最根本、センターと三丹田

(聞き手:松井浩)

※これらの記事は1999年3月27日発行の「身体意識」新聞にて掲載されたものを一部修正、加筆したものです。

  • 高岡英夫
  • 高岡英夫[語り手]
  • 運動科学者。「ゆる」開発者。現在、運動科学総合研究所所長、NPO法人日本ゆる協会理事長・推進委員。東京大学、同大学院教育学研究科卒。東大大学院時代に西洋科学と東洋哲学を統合した「運動科学」を創始し、オリンピック選手、芸術家などを指導しながら、年齢・性別を問わず幅広い人々の身体・脳機能を高める「ゆる体操」「ゆる呼吸法」「ゆるウォーク」「ゆるスキー」「歌ゆる」を開発。一流スポーツ選手から主婦・高齢者や運動嫌いの人まで、多くの人々に支持されている。大学・病院・企業などの研究機関と共同研究を進める一方、地方公共団体の健康増進計画での運動療法責任者も務める。ビデオ、DVD多数、著書は80冊を越える。
  • 松井浩
  • 松井浩[聞き手]
  • 早稲田大学第一文学部在学中から、フリーライターとして仕事を始め、1986年から3年間「週刊文春」記者。その後「Number」で連載を始めたのをきっかけに取材対象をスポーツ中心にする。テーマは「天才スポーツ選手とは、どんな人たちか」。著書は「高岡英夫は語る すべてはゆるむこと」(小学館文庫)「打撃の神様 榎本喜八伝」(講談社)等。高岡英夫との共著に「サッカー世界一になりたい人だけが読む本」「ワールドクラスになるためのサッカートレーニング」「サッカー日本代表が世界を制する日」(いずれもメディアファクトリー)、「インコースを打て」(講談社)等がある。

第4回 舛添要一(2009.10.06 掲載)

熱性のセンターが守るように立っているから、物事の中心が見えない

――最後に舛添要一さんです。

  • 舛添要一のDS図
  • 舛添要一のDS図
  • クリックすると拡大画像がご覧になれます。

高岡 この人が、とりあえずセンター系は一番発達しているよね。側軸(30)も、少しゆがんで硬いんだけども、ある程度通ってますね。ただ、特徴があるのは、中丹田(31)も下丹田(32)も二つに分かれていて、中央に乗ってきていない。それに、中丹田と同じ性質をもったディレクターが頭にもできちゃっている(33)。やはり、こうした構造ではちょっと熱くなりやすいでしょう。といって、中丹田から人にきちっと影響を与えていく力は、今のところはないでしょうね。二つに割れた中丹田では、胸の中心で信頼を受ける関係とか、本当の情熱で人を引っぱることはできないからね。空回りしちゃうものね。

――テレビの討論会でも、空回りすることがありますね。

高岡 それに、特徴は、熱性の軸(34)なんですよ、身体の前にある。熱性のクオリティを引っ張ってきて、胸に入り、肚に入る。それらが左右で都合6つの(31、32、33)熱性のディレクターを形成しているわけだけど。

――外にセンターがあるのは、珍しいですね。

高岡 珍しいよ。実際に彼は珍しい人じゃないですか。普通はこういうセンターがないから、普通の人がこれを持つと、まぶしくて物事がよく見えなくなってしまう。舛添さんは、これがあるから独特に物事が見えないんだよね。逆にいえば、見えないから怖くないともいえるけどね。つまり、センター・トゥ・センターで相手とぶつかり合うとするちょうどその位置に、熱性のディレクターが自分をビッシリと守るように立っているわけですよ。そこから、いつも自分に熱性のパワーをもらっていて、何があっても怖くないと同時に、悲しくもない。悲しむべき状況を見てもピンとこない。怖いものを見ても怖くない。だから、物事、例えば社会的事象の中心が見えないんでしょね。

照準を合わせる道具それ自体が、照準の向こう側を見えなくさせてしまっている

――議論でも、そんな感じですね。『朝まで生テレビ』で議論をするんだけど、この人の意見て、本論をズレて行くことが多いですね。他の出演者が反論すると、ちょっと突っ張ってウヤムヤに終わってしまうところがありますからね。

高岡 そうなんだよね。まあ、東大の助教授はズレてもなれるのかと言われると、その通りですと答えるしかないですけどね。もっとも普通、議論がズレるのは誰でもよくあることだから、ズレない人物が稀にしか存在しない格別に優れた人物だということでね。ズレる背景は、これまた人によって様々なんですが、ただ、この人は、センター・トゥ・センターが全然できてないわけじゃないんだよね。身体意識の構造成分のうちの空間的形態成分であるストラクチャーのみついていえば、できやすいわけだよ。4軸(35)があって、自分の前に軸(34)があるわけだから、照準を合わせればパッと取れるわけじゃない。でも照準は合うのに、向こう側が見えないわけだよ。では、どういうふうに見えないかというと、熱くて見えないわけ、これがこの人の場合。

――議論の時、1人よがりになることがあるのは、そのためだったんですね。政策では福祉が売り物ですけど、先日も、自分の主張が受け入れられなかった時、他の候補者に「なぜ、みなさんは理解しないんですか」と言って、苦笑されてました。

高岡 そんなことがあったの? やっぱり、そうなりやすいんだよ。自分は物事の中心を捉えているつもりになっちゃう。だから、相手が納得しないと、そういう言い方になるんだろうね。つまり、照準を合わせる道具それ自体で、照準の向こうが見えないようにしているんですよ。そういう矛盾すべき構造をしている。なるほど彼の議論を聞いていると、その通りと思うよね。実に不思議な議論のしかたをするものな。

――後ろから押されている(36)から、積極的に出ていきますね。

高岡 そりゃあ、出ていくよ、積極的だよ。

頭を働かせるためのディレクターは、いっぱい入ってきている

 あと、頭はよく働くね。頭を働かせるためのディレクター(37)がいっぱい入ってきてるもの。

――一般に、頭がいいというイメージはありますね。

高岡 頭は、とにかく働くよ。右脳、左脳の連携も強いし、それぞれに清明に働かせるものもあるよ。だから、イメージ通り、頭がいいし、働いているよ。だけど、何がもったいないかというと、この真っ赤っかのセンター(34)だよ。これは、舛添くんを決定づけてるね。あれだけ頭が働いても、このDSのままではさしたる建設的な事業はできないでしょうね、どうしたって真っ赤っかを変えるしかないよね。

 やっぱりね、本物の人物というものは、身体の中に4本のセンターが通ってきて、それに沿って下丹田、中丹田、上丹田ができて、位置も形もきちっとしている。それぞれのクオリティも、重性の下丹田、熱性の中丹田、冷性の上丹田ときちっとできる。そして、左右のバランスがちゃんと取れていて、拘束ディレクターがない。これが、人間の理想とするDSなんですね。そこから見ていくと、都知事選の候補者たちは4人とも、ほど遠いよね。

幕末の英雄たちは、命がけで苦難を乗り越え、問題を解決しながら、政治家としての見事なDSを発揮してきた

 それに対して、本格的に困難な時代に活躍した政治家たちのDSは、すごいよね。日本の幕末って、文化的には高かったけど、いろんなことが遅れていたところへ外国列強が入ってきて、本当に大変な時代だったよね。ああいう困難な時代の中で、日本を救った英雄がいたわけですよ。

 たとえば(以下の人物DS図は省略)、西郷隆盛はすごい下丹田に中丹田、センターも素晴しかった。見事だよね。高杉晋作は、四国艦隊の砲撃事件から長州を救った人だけど、あれが日本の将来を決定づけたわけでね。あの下関戦争で負けた結果、日本はダメになるところを奇跡的な外交交渉で切り抜けたんだからね。そういう力は、熱性のディレクターが発揮させたんだけど、その熱性のディレクターが見事な「顔施」になっている。

――「顔施」って何ですか?

高岡 顔から、相手に向かって気のエネルギーを浴びせかけるディレクターだよ。それが強く人に影響を与えるんだね。

――たしかに写真で見る彼の顔は、そういう顔をしてますね、迫力があって。

高岡 そうね。高杉晋作は若くして死ぬために生まれてきたような人だから下丹田はないんだけど、戦勝国である外国の船に乗り込んで1回交渉したら、後は高杉じゃなきゃダメだと、あいつじゃないと話にならないと言わしめ、ついには戦勝国の人間から「魔王のごとし」と畏敬された程の人物だからね。

 山岡鉄舟も、見事すぎる下丹田と中丹田、センターだね。勝海舟は、人との困難な交渉などをうまく煙に巻いて処理していく、そういうトリッキーなディレクターも発達しているんだけど、見事な下丹田、中丹田があって、側軸が通っているんですね。やっぱり、揃うものは揃っているんですね。ただ、ズレてるディレクターや左右不均等なものがあって、それがために中心人物にはなれなかったけどね。坂本龍馬も、三丹田が揃って、センターが通っていて見事ですね。構造の力強さはいま一つですけどね。

 幕末の英雄たちって、敵対の仕方がすごいじゃないですか。お互いに殺し合いをするような中で、また解決点を見つけて、建設的な方向で苦難を乗り越え、問題を解決しながら、命がけでやってきたわけじゃないですか。そういう政治家としてのすごさ、迫力、能力はあの見事なDSから生じてくるものだけど、今回の都知事候補たちには、望むべくもないよね。

――今回は、都知事候補の中から4人を取り上げたのですが、こうして見てくると、日本の現在の政治家より、スポーツ選手の方がずっと良いですね。

高岡 そうだね。DSで見た時、清水宏保にせよ、船木和喜にせよ、イチローにせよ、天才として花開いているスポーツ選手の方が良いDSをしているということは、はっきり言えるね。

――世界で通用するスポーツ選手はいますけどね………。

高岡 そうなんだよね。世界に通用する政治家はいないものね。政治家にはきつい言葉だけど、見ようによっては、現代の日本では、社会、人々に対するプラスの影響力はスポーツ選手の方があるともいえますよ。それは、日本人の政治離れ、政治的無関心ということによく現れているよね。それがDSで見ると本質的なメカニズムとして理解できる、ということだよね。

-完-

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